前回に引き続き、「船舶リース」について深堀していきます。

リースには、実は様々な契約形態があります。
今回は「ファイナンス・リース」について、ご紹介します。
前回の記事【船舶リース①船舶を調達するには、銀行借入?それとも…】も是非合わせてご覧ください。
リースってなに?
リースとは、企業(借手)が選んだものをリース会社(貸手)が購入し、賃貸する取引をいいます。

①企業(借手)は対象物件を選定し、
②リース会社(貸手)にリース申込みをします。
③企業(借手)とリース会社がリース契約をした後、
④リース会社とメーカー・販売会社が、売買契約を締結します。
⑤メーカー・販売会社から直接物件が納入され、リース料の支払がスタートします。
なお、リース会社は、リース物件の所有権をもっていますので、リース物件に保険をかけ、リース物件の設置場所である市区町村に固定資産税を納めます。
一般的にリースといえば「ファイナンス・リース」
リースは、「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」に分けることができますが、一般的に、リースというと「ファイナンス・リース」を指します。
「ファイナンス・リース」の特徴は、2つ。
①中途解約不可 リース期間中に解約ができません。
②フルペイアウト 企業(借手)が、リース物件の物件価格及び諸経費の概ね全額をリース料として支払います。

ファイナンス・リースのメリットってなに?
公益財団法人リース事業協会が2021年1月に公表した「リース需要動向調査報告書」によると、リースを利用している会社がリースに対して感じている主なメリットは、以下になります。
①設備導入時に多額の資金が不要である
②コストを容易に把握できる
③事務管理の省力化が図れる

「船舶」と「ファイナンス・リース」は相性が悪い?
船舶リースにおいて、ファイナンス・リースが採用されることは珍しく、以下の理由で相性が悪いといえます。
①途中解約ができないため
耐用年数15年の船舶の場合、ファイナンス・リースで組める最短リース期間は、9年です。「定期用船契約が終了してしまった」という時、中途解約ができないリスクがあります。
②残価が置けないため
フルペイアウトが条件のファイナンス・リース。船舶は、リース契約終了後も価値が見込めるため、将来価値に見合った残価を置いて、リースすることが理想です。

③船舶は、長期間利用することが多いため
契約期間が終了した後も利用したい場合は、再リース契約をすることが基本であり、リース料を払い続けなければなりません。長期間利用することが多い船舶は、割高に感じるでしょう。
④借入金による資金調達と同じ会計処理
借入金による資産購入の場合と同じように貸借対照表への記載が必要になります。バランスシートのスリム化には向かない契約です。(※中小企業におけるリース期間1年以内のリース及び1件当たりのリース料総額が 300 万円以下のリースを除く)

船舶と相性が良いリース契約はなに?
船舶リースでは、「オペレーティング・リース」が多く利用されています。
次回は、「オペレーティング・リース」について、説明していきます。

弊社は、「社会を支える船にもっと安全を 海と船の未来をもっと豊かに」を企業理念に、海上運送に関する安全管理支援や、海上運送法上の安全管理規程に基づく内部監査の実施支援をしております。
お問合せは、こちらから
“船舶リース②リースの一般的な契約形態!「ファイナンス・リース」について” に対して1件のコメントがあります。
コメントは受け付けていません。