日本籍船にこだわったワケ
現在運航しているディズニークルーズ5隻は、すべてバハマ籍船です。
これらの船は、船の籍を他の国に置く「便宜置籍船」であり、税金の優遇、手続きの簡素化などのメリットを享受することができます。
実際に、世界の船籍(総トン数)を見てみると、一番多いのがパナマ籍で約1億2,000万トン、続いてリベリアの約5,200万トン、バハマの3,300万トンと続いています。
一般社団法人日本船主協会HPより
一方、オリエンタルランドは、今回「日本籍船」を選択しました。
なぜでしょうか。
それは、外国籍船だと、カボタージュ規制により、「クルーズ中一度は外国の港に寄港すること」が義務になり、国内の短期クルーズが出来なくなるからだと推測します。
例えば、外国籍船で横浜発着でクルーズを実施した場合、海外寄港を挟むと、最低でも5泊程度の航程になってしまいます。
長期休暇が取りにくい若年層やファミリー層に向けた短期クルーズを行うためには、日本籍船にするしかなかったのでしょう。
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カボタージュ規制とは?
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自国の沿岸輸送(内航海運)は自国籍船に限るという規制である。
国家の安全保障や国内産業の保護などの目的があり、例外はあるものの日本以外の多くの国でその政策がとられている。
日本籍船:横浜⇒大阪⇒沖縄⇒横浜 OK
外国籍船:横浜⇒大阪⇒沖縄⇒横浜 NG
「60日ルール」のため、海外寄港も?
オリエンタルランドは、寄港地について、「⾸都圏の港を発着する周遊クルーズがメイン」と発表し、海外寄港については言及していません。
ですが、クルーズ市場の規制を加味すると、60日に一回、海外に寄港しなくてはならない規制(通称「60日ルール」)が存在するために、
海外寄港も行わざるおえなくなるでしょう。
この「60日ルール」により、台湾や釜山等の近隣国の港へ寄港する海外クルーズが、実現する可能性もあると予想します。
- 「60日ルール」ができた過程は?
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1991年以前 日本籍客船の乗務員は全て日本人でないといけなかった。
1991年 レストランウェイター、清掃スタッフなどのサービス要員は、外国人でも良いとし、その代わりに、
「30日間に一度」海外に寄港することが義務となった。
その後、サービス要員だけでなく運航部員の外国人配乗も可能となった。
2015年 30日間に一度海外に寄港する義務を、「60日間に一度」に緩和された。
日本籍船と外国籍船の規制比較
その他にも、日本籍船と外国籍船では、以下のとおり、対応が異なります。
どこの籍船か、気にすることがなかった方も多いと思いますが、今回のオリエンタルランドの選択は、大きな決断だったといえます。
そして、その決断は、「短期間で楽しめるディズニークルーズ」「国内の厳しい安全基準を満たした安心感」「日本人乗務員によるおもてなし」を実現し、
多くの利用客へハピネスを与えることでしょう。